
引用:東京スポーツ
目次
- 1.2025年大ブレイクした上谷沙弥の魅力
- 2. 「プロフィール」ダンスからプロレスへ:異色のキャリアと才能の開花の経歴
- 3. スターダムでの栄光と挫折:QQ時代とリーダーとしての苦悩
- 4. サイン会事件の悲劇、裏切り、そしてH.A.T.E.へのヒールターン
- 5. 試練、執念、そしてワールド王座の戴冠:師匠中野たむとの邂逅
- 6. 中野たむとの宿命の最終章へ:後楽園ホールの敗者退団マッチ
- 7. 横浜アリーナの悲劇、そして魂の交歓:敗者引退マッチ、それぞれの愛の形
- 8. 絶対王者の貫禄。玖麗さやかを一蹴
- 9. フェニックス・スプラッシュ:美しき終焉の翼、その輝きは今…
- 10. リング外の顔:悪の仮面、ファンとの軋轢、そして見せた真摯な姿
- 11. 絶対王者からスターダムの中心へとして何を成すのか
1.2025年大ブレイクした上谷沙弥の魅力
「千鳥の鬼連チャンの300m走やラヴィットでのいいひとが隠し切れないヒールをテレビで彼女の笑顔を見てファンになった人も、リングでの壮絶な戦いに心を奪われた人もいるでしょう。
今、プロレス界で最も輝きを放つ『上谷沙弥』。ヒールレスラーとしての凄み、バラエティで見せるチャーミングな一面、そして歴史に残る名勝負の数々…。
彼女の多面的な魅力は、なぜこれほどまでに人々を熱狂させるのでしょうか?この記事では、あなたがまだ知らない上谷沙弥の『本当の凄さ』を徹底解剖して行きたい。
2. 「プロフィール」ダンスからプロレスへ:異色のキャリアと才能の開花の経歴
上谷沙弥選手 プロフィール
上谷沙弥選手 プロレスラーの経歴(キャリア)
上谷沙弥のキャリアは、プロレスラーとしては異色の経歴を持つ。幼少期からダンスに情熱を注ぎ、その才能は早くから開花。
ラスベガスでの世界大会準優勝、EXILEのサポートダンサー、バイトAKBとしての活動など、エンターテイメントの世界で多方面に才能を発揮。
ただ華やかな舞台には恵まれずアイドルとしてのオーディションでは落選を繰り返していた。
これらの経験が、後のリング上での華麗なパフォーマンスや、観客を魅了する表現力の礎となった。
3. スターダムでの栄光と挫折:QQ時代とリーダーとしての苦悩


2018年、中野たむプロデュースのアイドルグループの一員としてスターダムの門を叩き、選手としては2019年8月にデビュー。瞬く間に頭角を現し、「ルーキー・オブ・スターダム」優勝。その後、老舗ユニット「Queen’s Quest(クイーンズクエスト)」に加入し、ワンダーオブスターダム王座(白いベルト)の最多防衛記録(V15)を作り、タッグ王座を獲得するなど中心選手として活躍した。
しかし、2024年3月、当時のリーダー林下詩美が新団体「マリーゴールド」に移籍したため退団。
上谷はQueen’s Questの新リーダーに名乗りを上げるも、その直後の同年某月22日、東京・国立代々木競技場第二体育館で行われた大江戸隊との「最終敗者以外4人ユニット追放イリミネーションマッチ」で、渡辺桃の二重の裏切りもあり敗北。
上谷以外のメンバー全員がQQから強制追放され、ユニットは事実上解散。新リーダーとしての船出は、あまりにも悲劇的な結末を迎えた。
この時、リングに一人残された上谷の姿は悲壮感の漂うものであった。
4. サイン会事件の悲劇、裏切り、そしてH.A.T.E.へのヒールターン


サイン会でのファンからの心ない言葉「お前を泣かせにきた」
QQ崩壊後、〝1人QQ〟として孤独な戦いを続けていた上谷。そんな上谷に追い打ちをかけるような悲劇が起きる。
24年6月30日サイン会でのこと、ファンの一人から「お前を泣かせにきた」と誹謗中傷を受け、上谷はショックでサイン会を途中退席。
これはスターダム社長が緊急声明を出す事態にまで発展してしまう。
同期・舞華との共闘からの裏切り、ヒールターンへ
そんな中、同期でもあるワールド王者の舞華と共闘しゴッデス王座獲りを目指すなど、再起の兆しを見せたかに思われた。舞華もまた、上谷の才能を認め、共に頂点を目指すことに意欲を見せていた。
しかし、2024年7月28日、シャトレーゼ・ガトーキングダムサッポロ大会。ハイスピード王者だった上谷は星来芽依に敗れ王座陥落。
失意の中、同日のメインイベントで行われた舞華対刀羅ナツコのワールド王座戦で舞華のセコンドに就くも、試合終盤に舞華を裏切り、刀羅の王座奪取をアシスト。
そして、大江戸隊から改名した極悪軍団「H.A.T.E.(ヘイト)」への電撃加入を表明。信頼していた舞華の驚愕と怒りの表情を背に、上谷はかつての仲間、そしてファンに衝撃を与え、不死鳥は完全に闇へと堕ちた。
5. 試練、執念、そしてワールド王座の戴冠:師匠中野たむとの邂逅
師匠・中野たむへの王座挑戦
H.A.T.E.の一員となった上谷だがその執念はさらに燃え盛る。ヒールとしてのラフファイトにも磨きがかかり、ファイブスターのリーグ戦では優勝決定戦で舞華に敗れたものの準優勝という結果を残し、その存在感を改めて示した。
そして、タッグリーグ戦では、因縁浅からぬ中野たむから直接ピンフォールを奪い、ついにワールド王座への挑戦権を手繰り寄せた。
そして迎えた2024年12月29日、スターダム年内最終興行となる東京・両国国技館大会。〝闇に落ちた不死鳥〟上谷沙弥は、ワールド・オブ・スターダム王者・中野たむに挑戦。
これまで3度挑戦して手の届かなかった最高峰のベルトを賭け、両者は壮絶な死闘を繰り広げた。
まさかの騙しうちからの王座奪取!
中野たむは、上谷にとってアイドルからプロレスの世界へと導いてくれた師匠でもあり、23年の「5★STAR GP」の初戦で試合中に右ヒジを脱臼し4ヶ月間の長期欠場を余儀なくされた因縁の相手でもあった。
闘志をむき出しにした両雄は、序盤から一進一退の攻防を展開。8分過ぎ、上谷はチェーンを持ち出し、中野の首に巻きつけて絞首刑に処するという非情な攻撃を見せる。さらに客席ゲート上から特大プランチャを敢行し、場内を戦慄させた。
しかし、15分過ぎ、中野の雪崩式ジャーマンを浴びた上谷は、右肩を押さえながらリングにうずくまり動けなくなってしまう。
リングドクターが駆け寄り容体を確認する緊迫した状況。誰もが上谷の負傷を確信した次の瞬間、彼女はリングドクターを場外に突き飛ばし、何事もなかったかのように中野にフランケンシュタイナーを炸裂させる。
王者と観客を欺く、まさに悪魔的な策略。会場からは大ブーイングが巻き起こる中、上谷は相手の得意技であるバイオレットスクリュードライバーを完璧に決め、試合の流れを完全に引き寄せた。
そして最後は、必殺の旋回式スタークラッシャーが中野に炸裂。21分29秒に及ぶ激闘の末、上谷沙弥はついに団体最高峰のワールド王座を初めてその腰に巻いた。試合後、上谷は倒れる中野たむに赤いベルトを巻かせると、「お前、ぶざまだな。これで終わりだと思うなよ」と冷酷に言い放ち、リング上でベルトを舐め回しながら「ずっと巻きたかったこのベルト、たまらなく愛おしいよ。悪の頂に立った私が絶対王者として、このスターダムをめちゃくちゃにしてやる。スターダム史上最大の混沌の始まりだ!」と高らかに宣言した。
6. 中野たむとの宿命の最終章へ:後楽園ホールの敗者退団マッチ
ワールド王者となった上谷の暴虐は続き、中野たむとの因縁はさらに過酷な形で最終章へと向かう。2025年3月3日、東京・後楽園ホール。
敗者退団マッチ、そして・・・
超満員札止め1635人の観衆が見守る中、ワールド王者・上谷沙弥は、前王者・中野たむと「敗者退団マッチ」というあまりにも重いルールで激突した。 試合レポート(スターダム公式)
ゴングと同時に場外戦を誘発した上谷は、H.A.T.E.のセコンドと共に中野を蹂躙。チェーンで首を絞め上げ、コーナーに吊るし上げるなど、非情な攻撃で完全にペースを掌握する。
しかし、20分過ぎ、刀羅ナツコのラリアートが上谷に誤爆し、中野のセコンド・なつぽいのプランチャでH.A.T.E.軍が一時総倒れとなる波乱。その隙を突かれ、中野のバイオレットスクリュードライバー、トワイライトドリームを浴び、上谷は絶体絶命のピンチに陥る。
だが、H.A.T.E.の仲間のアシストで息を吹き返すと、パイプ椅子で中野に一撃。旋回式スタークラッシャー、そしてダメ押しのカミゴェ式ビッグブーツで、25分39秒の激闘に終止符を打った。
まさかの両者の引退をかけた試合が決定
試合後、リングを去ろうとする中野を「おい、中野たむ…本当にこれで終わりか?」と挑発的に引き留めた上谷。
場内の「大たむコール」に後押しされリングに戻った中野から
「こんなんで納得できるわけねえだろ!」と張り手を受けると、
「惨めだな!」と嘲笑しつつも、「じゃあ最後に1つだけチャンスをあげようか? 次は何をかける?」と問いかける。
涙ながらに中野が「引退をかける」と絞り出すと、上谷は「本当にコイツはおもしれえな。お前が引退をかけるなら、私だって引退をかける。
そして赤いベルトも。場所はもちろん4・27横浜アリーナ。泣いても笑ってもこれが最後。負けたら即引退。ラストダンスだ!」と絶叫。ここに、究極の最終決戦が決定した。傍らでこのやり取りを見ていた刀羅ナツコは、不気味な笑みを浮かべていたという。
7. 横浜アリーナの悲劇、そして魂の交歓:敗者引退マッチ、それぞれの愛の形
そして迎えた運命の2025年4月27日、横浜アリーナ大会。試合レポート(スターダム公式)
はい、承知いたしました。ご提示いただいた文章を、読者が最後まで読みやすくなるように、段落分け、小見出しの追加、太字による強調を施して編集します。
2年ぶりに開催されたこのビッグマッチのメインイベントで、ワールド・オブ・スターダム王者・上谷沙弥は、挑戦者・中野たむと、互いの進退、そして赤いベルトを賭けた「敗者即引退特別ルール」という、あまりにも過酷で、そして究極の最終決戦に臨んだ。その背景には、かつて1979年2月の全日本女子プロレス日本武道館大会で行われたジャッキー佐藤対マキ上田の伝説的な敗者引退マッチの影が色濃く落とされ、女子プロレス史に残る大一番として、試合前から異常なほどの緊迫感に包まれていた。
序盤の激闘と王者・上谷の逡巡
ゴングが鳴ると、両者は一歩も引かない意地の張り合いを展開。序盤から感情むき出しの打撃戦、場外での激しい攻防が繰り広げられる。上谷は得意のスタークラッシャーから、この大一番でこそとフェニックススプラッシュの解禁を狙う。しかし、あまりにも重い試合の十字架か、あるいは宿敵への非情な一撃をためらったのか、一瞬の迷いが生じ、飛ぶことができない。その隙を中野は見逃さず、雪崩式タイガースープレックスで反撃し、試合の主導権を奪いにかかる。
挑戦者・中野たむ、怒涛の猛攻
中野の猛攻は凄まじかった。壮絶な張り手の応酬から、得意のバイオレットシューティングを3連発、さらにバイオレットスクリュードライバー、そして必殺のトワイライトドリームと、まさに怒涛の攻撃で上谷を追い詰める。何度もマットに沈み、意識が遠のきかける上谷だったが、王者の意地、そして中野への複雑な想いが、彼女をギリギリのところで踏みとどまらせ、3カウントだけは許さない。
魂の応酬!掟破りの技が交錯
絶体絶命のピンチを脱した上谷は、なんと中野の得意技であるスタークラッシャーを「掟破り」とも言える形で繰り出す。これに対し、中野もまた上谷の得意技であるバイオレットスクリュードライバーを返すという、互いの魂が乗り移ったかのような壮絶な技の応酬が展開された。リング上には、両者の汗と涙、そして執念が飛び散る。
非情なる決着、そして王者が見せた複雑な表情
そして、ついに上谷が完璧なタイミングで旋回式スタークラッシャーを中野に叩き込む。これで決まったかと思われたが、上谷はあえて3カウントを取りにいかず、朦朧とする中野の頭を掴んで引き起こす。非情なまでの選択。最後は、中野自身の必殺技であるトワイライトドリームを、上谷が中野に決めるという、あまりにも残酷で、しかし、これ以上ないほどの敬意と決着の形をもって、〝宇宙一かわいいアイドルレスラー〟中野たむのレスラー生命に終止符を打った。ワールド王座を防衛した上谷だったが、その表情にいつものような悪辣な笑みはなく、どこか虚ろな、それでいて何かを振り切ったかのような複雑な表情を浮かべていた。長きにわたる二人の因縁に、あまりにも残酷な形で終止符が打たれた瞬間だった。この結末に、観客席からは悲鳴と嗚咽、そして両者の健闘を称える拍手が入り混じっていた。
涙の告白「アンタは光輝く一番星だよ!」
試合後、リング上には言葉にできないほどの感情が渦巻いていた。大号泣する上谷は、引退する中野に向かい、これまで押し殺してきた想いをぶちまける。「中野たむの全てを奪ったぞ。でも、なんか苦しいな。全部こうなったのはお前のせいだからな!」と、まるで子供のように罵りながらも、その瞳には憎しみとは異なる色が浮かんでいた。そして、堰を切ったように続けた。「でも今日お前の全てを奪ってわかった。私はお前のことが大好きだ。私にとってアンタは光輝く一番星だよ!」それは、ヒールとしての仮面を脱ぎ捨てた、魂からの最大級の愛のメッセージだった。
引退する中野たむ、涙と感謝の言葉
その言葉を受けた中野は、涙で濡れた顔を上げ、力なくも優しい笑みを浮かべた。「汚い顔…上谷さ、不器用すぎでしょ。でも、愛を忘れたわけじゃなかったんだね」。そして、声を震わせながら続けた。「こんな不器用で泣き虫でメイクもおかしい後輩のせいで大変な思いしたけど、たむはあなたがいたから、ここまで生きられた。全部をかけて戦えた。ごめんね。ありがとう」。それは、師として、ライバルとして、そして同じ時代を生きた仲間としての感謝の言葉だった。
「中野たむの呪い」と魂の継承
最後に中野は、リングに残る上谷と、会場のファンに向けて、力強いメッセージを送った。「上谷、あなたはこれから中野たむの呪いを一生背負って生きるんだよ。ここにいるみんなもそう。全員たむのこと一生忘れちゃダメだからね!」。それは、引退する者の最後の願いであり、生き続ける者への魂の継承だったのかもしれない。
長き物語の終幕、美しくも切ない退場
言葉を交わし終えた二人は、ヒールとベビーフェイスという立場を超え、ただ一人の人間として向き合っていた。上谷は、引退する中野にそっと肩を貸し、二人でゆっくりとリングを降りる。そして、まるで万感の想いを込めるかのように、共に会場全体を見渡し、横浜アリーナの景色を目に焼き付けていた。それは、二人の長きにわたる物語の、あまりにもドラマチックで、そして美しくも切ないエンディングだった。
最大のライバルを乗り越え、絶対王者へ
この勝利により、中野たむはスターダムマットから引退。上谷は、最大のライバルを自らの手で葬り去り、H.A.T.E.の絶対王者としての地位を不動のものとした。しかし、その心には、新たな感情と、そして中野たむという「呪い」が深く刻まれたことだろう。
8. 絶対王者の貫禄。玖麗さやかを一蹴
中野の愛弟子との防衛戦、非情なる王者の壁
中野たむ引退の衝撃も冷めやらぬ2025年5月11日、東京・後楽園ホール大会。上谷は、中野の愛弟子であったシンデレラ・トーナメント覇者・玖麗さやかを挑戦者に迎え、ワールド王座の防衛戦を行いました。師匠の仇討ちに燃える玖麗に対し、上谷は序盤から非情な攻撃で圧倒。場外戦では客席に投げ飛ばし高笑いを見せるなど、ヒールとしての貫禄を存分に発揮します。
玖麗も師匠譲りの粘りを見せ、中野の得意技であったバイオレットシューティングからのバイオレットスクリュードライバーで王者を追い詰める場面もありましたが、絶対王者の牙城は崩せず。最後は上谷が旋回式スタークラッシャーで玖麗を沈め、3度目の防衛に成功しました。
徹底したヒール像、女王の恐怖政治と舞華の視線
試合後、玖麗から握手を求められるも、上谷はあっかんべーでこれを拒否しベルトを見せつけるという徹底したヒールぶりを披露。H.A.T.E.の女王としての恐怖政治を継続していることを印象付けました。この一連の光景をリングサイドから見ていた舞華は、かつての共闘相手のその変貌ぶりに何を思ったのでしょうか。
9. フェニックス・スプラッシュ:美しき終焉の翼、その輝きは今…
上谷沙弥の代名詞、美しき必殺技「フェニックス・スプラッシュ」
上谷沙弥の代名詞と言えば、やはり必殺技「フェニックス・スプラッシュ」をおいて他にないでしょう。トップロープから前方宙返りしながら体を半回転ひねり、相手にプレスするこの技は、その滞空時間の長さ、空中での美しいフォーム、そしてピンポイントで相手を捉える正確性において、他の追随を許しません。まさに彼女を象徴する華麗なる一撃です。
華麗さの裏に潜むリスクと、変化する使用場面
しかし、この華麗な技は、同時に極めて高いリスクを伴う諸刃の剣でもあります。中野たむとのワールド王座戦(2024年12月)や、その後の防衛戦においても、そのあまりの重圧からか、あるいは非情なヒールとしての戦略か、この技をフィニッシュとして使う場面は限定的になっています。かつてのような絶対的な切り札としての姿は、鳴りを潜めているかのようです。
闇に染まる飛翔、恐怖を呼ぶ終焉の翼へ
闇に堕ちた今、この美しき「フェニックス・スプラッシュ」は、どのような意味合いを持って繰り出されるのでしょうか。かつて希望の象徴であったその飛翔は、今や相手を絶望の淵に叩き落とす、非情なる終焉の翼と化すのかもしれません。その一瞬の輝きは、見る者に美しさと共に、底知れぬ恐怖と戦慄をもたらすに違いありません。
10. リング外の顔:悪の仮面、ファンとの軋轢、そして見せた真摯な姿
リングを離れた素顔:バラエティとSNSで見せる多彩な魅力
リング上では非情なヒールとして君臨する上谷沙弥ですが、リング外ではまた異なる魅力と、そして人知れぬ苦悩を抱えています。近年、特に注目されているのがバラエティ番組への出演です。フジテレビ系列の人気番組「千鳥の鬼レンチャン」などでは、その驚異的な身体能力や、リング上では見せない天真爛漫なキャラクターで人気を博し、お茶の間に新たなファン層を拡大しています。
また、SNS(XやInstagramなど)も積極的に活用し、試合のことはもちろん、日常の出来事やトレーニングの様子などを発信。H.A.T.E.加入後は、その発言内容もより挑発的で注目を集めるものに変化しており、リング内外で常に話題を提供し続けています。
笑顔の裏の苦悩:サイン会での心無い誹謗中傷
しかし、ヒールとしてのキャラクターが確立される以前の2024年6月30日、スターダムのサイン会イベントで、彼女の心に深く刻まれる出来事がありました。いつもイベントに来てくれるという常連のファンが、上谷に対し「私の立場や行動が気に入らない」といった趣旨の誹謗中傷の言葉を執拗に浴びせかけてきたのです。サインの対象となるポートレートを10枚まとめて出し、その間、心無い言葉を投げ続けるファンに対し、上谷は「そんなこと言わないで。泣きそうになるよ」とたしなめました。しかし、返ってきたのは「今日は泣かせに来たんだ」という、あまりにも残酷な言葉でした。
深い傷と危機感:事件が浮き彫りにした問題意識
この言葉に上谷は大きなショックを受け、たまらず控室に戻ったといいます。彼女は後にこの出来事について、「コロナが収まってきてからサイン会ができるようになって、選手もファンのみなさんとお話するのが楽しみになっていたんです。その分、慣れていたというか距離が近くなりすぎていたのかもしれない」と振り返っています。かつてアイドルを目指していた経験から、AKB48の握手会で起きた傷害事件のことも念頭にあり、「そうなってからでは遅い」という危機感、そして選手を守るべきスタッフの対応への疑問も感じていました。
悲しみを乗り越え提言へ:見せた真摯な姿勢と業界への想い
このショッキングな出来事は、彼女がその後、より強固な精神を身につけ、ヒールとしての道を歩む上での一つの遠因となった可能性も否定できません。上谷は真摯にこの問題を捉え、「ネットの誹謗中傷も“またか”という感じで慣れてしまっている部分もあると思います。でも誰であってもこんな悲しい思いをする必要はないはず。会社にも改善をお願いしました」と語り、スターダムという団体、そしてプロレス界全体の健全化のために声を上げました。悪の仮面を被る以前の、そしてその後の彼女の振る舞いの根底にある真摯な姿勢と、ファンや業界への想いが垣間見えた瞬間でした。
11. 絶対王者からスターダムの中心へとして何を成すのか
H.A.T.E.の象徴として、そしてワールド・オブ・スターダム絶対王者として、スターダムマットに君臨する上谷沙弥。彼女の視線は、一体どこへ向けられているのだろうか。
「スターダムをめちゃくちゃにしてやる」という宣言通り、その暴虐ぶりはとどまることを知らないだろう。ベビー時代にはなかったカリスマ性を纏いつつある上谷沙弥。
中野たむ、岩谷麻優が退団した今、ヒールながらスターダムを引っ張るエースとして存在感を示しているが、期待も。
また、その実力と強烈なヒールキャラクターはリングに留まらず、テレビ番組からも注目を集めて露出を増やしていくだろう。
H.A.T.E.としての女子プロレス界の頂点に立った上谷が、これからプロレス業界全体をどのようにけん引し、そして破壊していくのか。その一挙手一投足から、片時も目が離せない。